ホワイトニングで知覚過敏に?歯医者が原因と対処法・予防策を解説

歯のホワイトニングは歯を白くする効果的な方法ですが、施術後に歯がしみる「知覚過敏になるのでは」と不安に感じる人も少なくありません。
実際に、ホワイトニングが原因で一時的に知覚過敏の症状が出ることがあります。
しかし、その原因を正しく理解し、適切な対処と予防を行うことで、リスクを最小限に抑えることが可能です。
この記事では、歯医者の視点から、ホワイトニングで知覚過敏が起こる仕組み、具体的な原因、そして症状が出た際の対処法や事前の予防策について詳しく解説します。

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そもそも知覚過敏とは?ホワイトニングで歯がしみる仕組みを解説

ホワイトニングで歯がしみるのは、使用する薬剤が歯の内部構造に作用するためです。
歯の表面は硬いエナメル質で覆われていますが、その内側には「象牙質」という無数の小さな穴が開いた層があります。
ホワイトニング剤に含まれる成分がエナメル質を通過し、この象牙質に達すると、外部からの刺激として歯の神経に伝わります。
これが、歯がしみると感じる理由です。
症状が出るかは、薬剤の濃度や歯の状態によって個人差がありますが、この刺激は一時的なものがほとんどです。

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ホワイトニングで知覚過敏が起こる5つの原因

ホワイトニングで知覚過敏が起こる、あるいは症状が悪化する原因は、単に薬剤の刺激だけではありません。
もともとの歯や歯ぐきの状態が大きく影響します。
例えば、エナメル質が薄くなっていたり、虫歯や歯周病があったりすると、薬剤の刺激が神経に伝わりやすくなります。
ここでは、知覚過敏を引き起こす代表的な5つの原因を挙げ、それぞれのメカニズムについて詳しく見ていきます。
ご自身の口腔内の状態と照らし合わせながら確認してください。

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原因1:ホワイトニング剤の濃度が高すぎる

ホワイトニング剤には、歯を白くする成分として過酸化水素や過酸化尿素が含まれています。
この薬剤の濃度が高いほど漂白効果は強まりますが、それに比例して歯への刺激も大きくなります。
特に歯科医院で行うオフィスホワイトニングでは、短時間で効果を出すために高濃度の薬剤を使用することが一般的です。
そのため、薬剤がエナメル質を通過して内部の象牙質に浸透しやすく、歯の神経に刺激が伝わることで一時的に知覚過敏の症状が出やすくなります。
これは、薬剤が作用している正常な反応の一つでもあります。

原因2:歯のエナメル質が削れている・薄い

歯の表面を保護しているエナメル質は、バリアの役割を果たしています。
しかし、歯ぎしりや食いしばりの癖、あるいは硬い歯ブラシで強く磨きすぎることによって、このエナメル質が削れて薄くなることがあります。
また、体質的にエナメル質が薄い人もいます。
エナメル質が薄くなると、その下にある象牙質が露出しやすくなり、外部からの刺激が歯の神経に直接伝わりやすい状態になります。
この状態でホワイトニング剤を使用すると、薬剤が象牙質に浸透しやすいため、知覚過敏の症状を強く感じることがあります。

原因3:歯に細かなひび割れがある

自分では気づきにくいものの、歯の表面には加齢や強い噛み合わせなどによって「マイクロクラック」と呼ばれる微細なひび割れが生じている場合があります。
このひび割れは肉眼ではほとんど見えませんが、ホワイトニング剤が内部に侵入する通り道となります。
ひび割れの部分から薬剤が象牙質に直接浸透するため、健康な歯に比べて刺激が神経に伝わりやすく、しみたり痛みを感じたりする原因になります。
特に前歯は力がかかりやすく、マイクロクラックが生じやすい部位でもあるため注意が必要です。

原因4:虫歯を治療せずに放置している

虫歯がある状態でホワイトニングを行うのは危険です。
虫歯によって歯に穴が開いていると、エナメル質や象牙質が失われ、歯の神経が外部に露出しやすい状態になっています。
その穴にホワイトニング剤が直接入り込むと、神経に強烈な刺激が加わり、激しい痛みを引き起こす可能性があります。
ホワイトニングを安全に行うためには、施術前に必ず歯科検診を受け、虫歯がある場合は完全に治療しておくことが大前提です。
自己判断でホワイトニングを進めることは避け、必ず専門家のチェックを受けてください。

原因5:歯周病で歯ぐきが後退している

歯周病が進行すると、歯を支えている骨が溶け、歯ぐきが下がる「歯肉退縮」という状態が起こります。
歯ぐきが後退すると、本来覆われているはずの歯の根元部分が露出します。
この歯根部分はエナメル質で覆われておらず、象牙質がむき出しの状態です。
象牙質は刺激が神経に伝わりやすいため、露出した歯根にホワイトニング剤が付着すると、強い痛みを感じる原因となります。
歯周病は自覚症状なく進行することもあるため、ホワイトニング前には歯ぐきの状態も確認してもらうことが重要です。

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ホワイトニング後の知覚過敏はいつ治る?痛みが続く期間の目安

ホワイトニング後に歯が痛いと感じると、この症状がいつまで続くのか不安になるかもしれません。
しかし、多くの場合、ホワイトニングによる知覚過敏は一時的なもので、その痛みは長くは続きません。
症状のピークは施術後数時間で、通常は24時間以内、長くても48時間程度で自然に治まることがほとんどです。
もし、痛みが3日以上続く場合や、だんだん強くなるような場合は、別の原因が考えられるため、我慢せずに施術を受けた歯科医院へ相談してください。

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ホワイトニングで歯がしみたら試したい5つの対処法

もしホワイトニング中に知覚過敏の症状が現れた場合、いくつかの方法で痛みを和らげることができます。
症状は一時的なことが多いですが、不快な感覚はできるだけ早く解消したいものです。
ここでは、ご自身ですぐに実践できるセルフケアから、歯科医院で受けられる専門的な処置まで、5つの具体的な対処法を紹介します。
症状の程度に合わせて、適切な方法を試してみてください。
痛みを我慢しすぎず、早めに対処することが大切です。

対処法1:まずは刺激の強い食べ物・飲み物を控える

ホワイトニング後の歯は、薬剤の影響で一時的にデリケートな状態になっています。
この期間は、冷たい水や熱いスープ、柑橘系のジュース、炭酸飲料、酢の物といった温度刺激や酸の刺激が強い飲食物を摂取すると、しみる症状を誘発しやすくなります。
知覚過敏の症状が出ている間は、できるだけこれらの飲食物を避け、人肌程度の常温のものや、味付けの濃すぎない食事を心がけることで、歯への余計な刺激を減らし、症状の悪化を防ぐことができます。
症状が落ち着くまでの一時的な対策として有効です。

対処法2:知覚過敏ケア用の歯磨き粉を使用する

知覚過敏の症状を緩和するためには、専用の歯磨き粉を使用することがおすすめです。
知覚過敏用の歯磨き粉には、「硝酸カリウム」や「乳酸アルミニウム」といった薬用成分が含まれています。
硝酸カリウムは、歯の神経の周りでイオンのバリアを形成し、刺激の伝達をブロックする働きがあります。
日常の歯磨きで継続して使用することで、しみる症状を抑える効果が期待できます。
また、フッ素が配合された製品を選ぶと、歯質を強化し、外部からの刺激に対する抵抗力を高める助けにもなります。

対処法3:痛みが我慢できない場合は鎮痛剤を服用する

ホワイトニングによる痛みが強く、食事や睡眠に影響が出るほどつらい場合には、市販の鎮痛剤を服用して一時的に痛みを抑える方法があります。
ロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、痛みの原因となる物質の生成を抑制し、症状を和らげます。
ただし、これはあくまで対症療法であり、根本的な解決策ではありません。
薬を服用する際は、必ず用法・用量を守ってください。
痛みが続く場合や、薬を飲んでも改善しない場合は、自己判断で続けずに、必ず施術を受けた歯科医院に相談することが必要です。

対処法4:【ホームホワイトニング】マウスピースの装着時間を調整する

自宅で行うホームホワイトニングの最中に知覚過敏の症状が出た場合は、マウスピースの装着方法を見直すことで対処できる場合があります。
まずは、歯科医師から指示された装着時間の上限を超えていないか確認してください。
その上で、痛みが強い日は装着時間を短くしたり、毎日ではなく1日おきに使用頻度を落としたりすることで、歯への負担を軽減できます。
自己判断で薬剤の量を増やしたり、指示された時間以上に長く装着したりすると症状を悪化させるため避けてください。
調整しても痛みが続くなら、歯科医院へ連絡し相談しましょう。

対処法5:歯科医院で歯の表面をコーティングしてもらう

セルフケアで症状が改善しない場合や、痛みが強い場合には、歯科医院での専門的な処置が有効です。
歯科医院では、知覚過敏抑制剤を歯の表面に塗布する治療が受けられます。
この薬剤は、刺激の伝達ルートとなる象牙質の微細な管を封鎖し、外部からの刺激が神経に届くのを防ぐ効果があります。
このコーティングによって、ホワイトニング剤によるしみを直接的に抑制することが可能です。
また、高濃度のフッ素を塗布して歯質を強化することも、知覚過敏の緩和に繋がります。
我慢せずに専門家に相談してください。

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これからホワイトニングする人へ!知覚過敏を防ぐ3つの予防策

歯を白くしたいけれど、知覚過敏の痛みが怖くてホワイトニングに踏み出せないという人もいるかもしれません。
しかし、施術を受ける前に適切な準備をすれば、知覚過敏のリスクは大幅に減らすことができます。
何もできないと諦めるのではなく、予防のためにできることがいくつかあります。
ここでは、これからホワイトニングを始める人が、安心して施術を受けられるように、事前に実践できる3つの予防策を紹介します。
これらの対策で、痛みの不安を解消しましょう。

予防策1:施術前に虫歯や歯周病の治療を完了させる

ホワイトニングを安全かつ快適に行うための最も重要な第一歩は、事前に口腔内を健康な状態に整えておくことです。
虫歯や歯のひび割れ、歯周病による歯ぐきの後退などがあると、ホワイトニング剤がそれらの部分から歯の内部に侵入し、強い痛みを引き起こす直接的な原因となります。
そのため、ホワイトニングを開始する前には必ず歯科医院で検診を受け、必要な治療はすべて完了させてください。
お口のトラブルがないことを確認してから施術に臨むことが、知覚過敏を未然に防ぐ上で不可欠です。

予防策2:ホワイトニング前から知覚過敏用歯磨き粉でケアする

ホワイトニングの施術予定が決まったら、施術を受ける2週間ほど前から、知覚過敏用の歯磨き粉を使い始めることをお勧めします。
これらの歯磨き粉に含まれる硝酸カリウムなどの薬用成分が、歯の神経の周りにバリアを形成し、外部からの刺激が伝わりにくくする効果があります。
事前に歯の神経を保護しておくことで、ホワイトニング剤による刺激に対する抵抗力を高め、施術中のしみる感覚を予防したり、軽減したりすることが期待できます。
日々の歯磨きを少し変えるだけの簡単な予防策です。

予防策3:【ホームホワイトニング】薬剤の用法・用量を正しく守る

自宅で行うホームホワイトニングは、手軽さから人気ですが、自己流で行うとトラブルの原因になります。
効果を急ぐあまり、歯科医師から指示された薬剤の量より多くマウスピースに入れたり、指定された装着時間を超えて使用したりすることは絶対にやめてください。
薬剤の過剰な使用は、知覚過敏を誘発する最大の原因の一つであり、歯ぐきに炎症を起こすリスクも高めます。
安全に効果を出すためには、必ず専門家の指示に従い、定められた用法・用量を厳守することが知覚過敏の最も基本的な予防策です。

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まとめ

ホワイトニングに伴う知覚過敏は、薬剤が歯の神経に一時的な刺激を与えることで生じ、その発生には薬剤の濃度や個人の口腔内の状態が関わっています。
多くの場合、症状は24時間から48時間程度で自然に治まります。
もし症状が出た際には、刺激の強い飲食物を控えたり、知覚過敏ケア用の歯磨き粉を使用したりといった対処法が有効です。
ホワイトニングを検討している場合は、施術前に虫歯や歯周病の治療を済ませ、口腔内を健康な状態に整えておくことが最も重要な予防策となります。
不安な点があれば自己判断せず、歯科医師に相談して適切な方法を選択してください。

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